谷崎潤一郎 文
大川裕弘 写真
株式会社パイ インターナショナル 刊

日本の文化は古来より、影をひとつの味わいとして、暮らしに取り入れてきました。ところが、近代の発展に伴い、影を考慮した生活様式は減少し、影を味わう機会は日常から姿を消してしまいました。
漆塗りの食器や日本庭園などの、昔ながらの日本の風景を思い浮かべてみると、明るいとまではいかない、ある程度のほのぐらさが、その風情を際立たせているように感じます。
そのほのぐらさとして機能しているのが、影でした。
日本は影をどのように美的に解釈し、さらには文化に組み込んでいったのでしょうか。
日本文化の美を探求し続けた文豪・谷崎潤一郎が編んだ、日本文化と『影』の関係に迫った著作です。